スマートフォンは便利である反面、その手軽さからついつい触り過ぎてしまい、依存しやすいという特性もあります。
スマホやパソコンなどのデジタル機器は使いすぎると脳が疲労してしまい、無気力や物忘れなどの症状が出てくる可能性があると指摘されました。
スマホ依存状態は脳内が「ごみ屋敷」になっているのに等しいとのことです。
そこでこちらの記事では、今話題になっているスマホによる「脳過労」について詳しく解説していきます。
■スマホ依存が引き起こす危険
スウェーデンの精神科医がスマホ依存に警鐘を鳴らす「スマホ脳」という著書を刊行したことにより、スマホ依存やデジタルデトックスへの関心が高まりました。
スマホと脳の関係に詳しい脳神経外科医である奥村歩さんによると、脳の情報処理は「入力→整理→出力」といった順番で行われているとのこと。
スマホを休みなく使い続けている状態というのは、大量の情報が絶え間なく入力されている状態であり、脳内で「整理→出力」されることなく「ごみ屋敷」のように溜まっていくとのことです。
これが進行すると「脳過労」という状態になるとのこと。脳過労になると苛立ちやすくなったり、物忘れが激しくなったり、抑うつなど日常生活において困る症状が出てくるとのことでした。
「やらなくてはいけないことがあるのに、ついついスマホをかまってしまう」
「早く就寝して明日に備えたいのに、寝る前のスマホがやめられない」
などという話はよく聞きますが、体調にも影響しているということがわかりました。
- 人間がスマホに使われている?
「人間がスマホを使っているのではなく、スマホが人間に使われている」
。そう指摘するのは早稲田大理工学術院の枝川義邦教授です。教授によると、スマホは下記のような工夫により使い続けるような仕掛けができているとのことでした。
- 画面が鮮やかで、楽しい気分になる
- ニュース、SNS、キーワード検索などで関連記事や広告が表示される(トラッキング広告)
こういった形で、常に飽きさせない工夫がなされています。
「こんなに見るつもりはなかったのに、気がついたら長い時間スマホを触っていた」
「大して興味はないのに、刺激を求めてSNSや動画をずっと巡回してしまう」
というのは「スマホ依存あるある」ではありますが、上記のような形で引き起こされていたのです。
また枝川教授はスマホの使い方について、「複数のアプリを同時に使う」「パソコンとスマホを同時に使う」などもストレスが溜まる原因になると言及しています。
いったりきたりの作業は、別の作業に切り替えるたびに脳内にストレスが溜まっているとのこと、その結果効率も落ちてしまうため、良いことがありません。
■1日5分からでもオッケー!デジタルデトックスのすすめとは
ここで奥村医師がすすめているのは、1日5分からでも始められるデジタルデトックスです。
方法は簡単で、最初に1日のうちスマホを使う時間と目的を決め、紙に書き出していきます。
- どうしても必要な用途は→青色
- 必要のない無駄な用途は→赤色
- 暇つぶしの用途は→黒色
そしてスマホを使う目的を、上記3色に色分けしましょう。
すると、赤色と黒色を減らせば良いということがわかります。
今までスマホを片時も手放せなかった人が、
「今日から全く触らない!」「スマホは解約する!」
というのはなかなか酷な話でしょう。
しかし「5分でも良いから、使わない時間を増やす」と考えれば、比較的達成しやすい目標といえるのではないでしょうか。
トイレや寝室にまで持ち込んでいた人は持ち込みを止める、移動時間にスマホをいじりがちだった人は代わりに本を読むなど……自分なりのやり方で良いので、少しずつ触らない時間を増やしていくことが重要です。
最近はデジタルデトックスのための取り組みが各所で行われています。
旅行やホテルなどを運営している「星野リゾート」では、デジタルデトックスをすすめる「脱デジタル滞在」というプランを提供しています。
宿泊客がチェックイン時にスマホを施設に預け、地元の自然や文化を親しむことを目的としています。
そのほか「星のや京都」ではお寺で読経を聞いたり、貸切の屋形船で周遊したりなどのプランも。
時にはデジタル機器から離れて自然に身を任せのんびりする。スマホ社会である今、「デジタルデトックス」は個人だけの問題ではないことがわかります。
自分ひとりの意思ではなかなかやめられないという人は、このようなサービスの力を借りてみるのも良いでしょう。
■最後に
スマホに時間を奪われることは勿体無い、とは多くの人が感じていることでしょう。
それでもスマホ依存を止めることができないのは、スマホ側に依存させる仕組みが働いているからです。
そのためスマホ依存から脱却するためには、強い意志を持つ必要があります。
それでもやめられない時のために、毎日少しずつで良いから減らす、脱デジタルのサービスに力を借りるなどの方法もおすすめです。