
ここ数年、新型コロナの感染拡大により、飲食店は軒並み時短営業や営業自粛をせざるを得ず、飲食業界は大きなダメージを受けたことから、次々に新たな経営スタイルへの移行が顕著です。
店舗をもって商品を販売していた事業者の中には、無人販売所の導入やシフトする傾向がみられ、飲食業界でも「無人カフェ」を展開する動きがあります。
しかし、世界各国で人気のスターバックスカフェは、すでに2016年の時点で無人カフェとも呼べる事業を国内で展開していたことをご存じでしょうか?
また、2021年にはキャッシュレス決済を活用したキャッシャーレス、レジのないスターバックス店舗も登場しました。
今回は、スターバックスがスタートさせた無人カフェについてご紹介します。
企業理念や現場レベルで丁寧な接客を重要視してきたスターバックにとって大胆な方向転換ですが、時代の変動への柔軟な対応が明らかです。

世界で急増中の無人カフェ
世界各国で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響は、世界中の飲食業界にとって避けられないものでした。
商品を売ることができず人件費や光熱費は発生し続けたことから、感染症の流行と飲食店経営の相性の複雑さが明らかになったと言えるでしょう。
しかし、そんなコロナを踏まえて飲食業界で急増しているのが、無人カフェです。
店員とお客さんとの接触がない、もしくは必要最低限となるため感染症対策において有利な経営スタイルなため、多くの経営者が注目しています。
また、コストパフォーマンスを抑えつつカフェメニューを販売できることから、今後、新たな感染症が流行した場合にも飲食業界を支える運営になるのではないかと期待が寄せられています。
無人カフェといってもさまざまなスタイルがあり「店内に全く店員がいないこと」が無人カフェの定義ではありません。
カフェメニューの商品を自販機で購入できる仕組みにしたスタイルもあれば、商品を用意したり運んだりする業務は店員が対応するものの、注文と決済をネット上で完結させるタイプのカフェも無人カフェと呼ばれています。

スタバが無人カフェ事業に参戦!その内容とは?
2022年、世界大手のスターバックスがニューヨークでレジのない店舗をオープンさせました。
キャッシャーレスと呼ばれ、世界から注目を集めています。
入店したお客さんはスターバックスのアプリで注文をします。
注文内容は店内のスクリーンに表示され、バリスタがドリンクを用意しお客さんへ渡す流れです。
支払いはキャッシュレス対応なため、店員とお客さんとの接触はドリンクの受け渡しのみで済みます。
今後は別店舗でもキャッシャーレスが導入される予定で、ニューヨークをきっかけに世界中のスタバ店舗にも広がっていくでしょう。
しかし、日本国内においてはスターバックスジャパンが2016年から、「We Proudly Serve Starbucks」と呼ばれる事業を展開しています。

日本でもスタバの無人カフェはあるのか?
この事業は店舗以外でもスターバックスのドリンクが飲めるシステムで、提携企業にコーヒー豆の販売やマシンの貸し出しを行う内容です。
マシンはサーブタイプとエスプレッソスタンドのセルフタイプの2種類があります。
サーブタイプではマシンが設置され、ドリップコーヒーやカフェラテなどボタンを押すだけでスタバのドリンクを楽しめます。
エスプレッソスタンドのセルフタイプはスターバックスの世界観を表したスタンドごと貸出す内容で、オフィス導入も可能です。
小さなスタバの店舗が設置されたような見た目から、ドリンクの味だけでなく世界観も楽しめるサービスとなっています。
日本では2016年10月からオムロンヘルスケアの本社でテスト導入が開始されました。オフィスにいながらスタバのドリンクを楽しめるとあって、1日200杯ほどの販売実績が報告され、別のオフィスでも導入されています。
また、スキーのリゾート地として有名な白馬八方尾根スキー場のカフェでも事業が展開されました。
店舗契約や人員確保などの業務を経ずに自社商品を販売できるため、スターバックスにとって新しいながらも事業拡大が大きく見込めるものです。
今後は企業のカフェテリアやホテル、レジャー施設などの導入が可能で収益も見込める場所をメインに事業を拡大させていく予定とされています。
そして、スターバックスだけでなく、さまざまなカフェ事業者が無人カフェを採用する動きがみられます。キャッシュレス決済の普及も後押しとなり、無人カフェスタイルは私たちの生活に少しずつ浸透していくことは明らかでしょう。

まとめ
無人カフェの数は、日本を含め世界中で増えています。
ニューヨークに登場したスタバの無人カフェの場合、注文や決済などの手続きをアプリやネット上で完結でき、ドリンクの準備はバリスタが行うスタイルです。
支払いもキャッシュレス決済を採用していることから、店員とお金のやり取りをすることはありません。
新型コロナの再流行だけでなく別の感染症が流行した場合でも、スタバの無人カフェのように接触を最小限まで抑えることが可能となり、自販機スタイルなど形態によっては営業を自粛することなくカフェメニューを販売し続けられるため、有事でも飲食業界を支える経営スタイルとして期待が寄せられているのです。