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公共施設の在り方とビルメンの今後

公共施設の在り方とビルメンの今後

2014年4月総務省において、各自治体に公共施設等総合管理計画の策定をするよう要請しました。

これは公共施設等の統廃合・再編を本格的に推進するためであり、中長期的視野に基づいて総量削減、設備管理に伴う経費抑制を前提にした計画を国主導で推進していくものとしています。

公共施設等総合管理計画策定の理由

 

公共施設等総合管理計画策定要請の理由としては、2013年11月策定の国によるインフラ長寿命化基本計画を基に計画として、

 

①安全で強靭(きょうじん)なインフラシステムの構築

②総合的なインフラマネジメントの実現によるトータルコストの抑制と平常化を図る

③これらを通じてメンテナンス産業の育成を図るという前提の基に地方においても行動計画を要請するという位置づけとされています。

 

理由付けの背景として、第一に地方財政の悪化、少子高齢化に伴う人口減少による公共施設等の利用需要の減少、施設の老朽化によって生じる設備等の改修及び更新費用の増大が挙げられます。

 

国はこれらを踏まえて計画の推進に向けて地方行政機関においても、自治体が管理し経費等が急増する公共施設の改修及び更新、維持管理費を標的として行政改革、施設等の再編、経費削減を求めています。

 

策定計画実施に向けた財政処置

国は自治体が管理する公共施設等の状況と将来展望、総人口及び年代別人口の推移と今後の見通し、公共施設の維持管理や改修・更新に係わる中長期的な経費と充当可能な財源の見込みを明示するよう求めています。

 

国は実施に向けて、

 

①公共施設の解体撤去に係わる地方債の特例措置

②集約化及び複合化による延床面積の減少に係わる地方財政処置

③転用事業に係わる地方債措置を講じており、更に本格的推進に向けて長寿命化事業、立地適正化事業、市町村役場機能緊急保全事業、2018年からはユニバーサルデザイン化事業を追加して講じています。

 

本格実施に向けての意義

 

少子高齢化による人口減少、地方財政の悪化などの状況を勘案すれば、公共施設などの在り方などの見直しは必至であることは確かで、政策的に見直し対応が求められます。

 

公共施設等はそもそも地域社会やコミュニティーの重要な拠点として活用されてきたもので、地域住民の福祉の増進や地域社会活動を営む基盤となっているものですから、一概に削減ありきではなく、地域の実態把握や住民の暮らしなどまちづくりの一環として図り進めるべきです。

 

自治体が本来の役割を考え、予算の使用目的として政策の選択立案を考えていくことが必要です。

 

〇自治体による実施計画

財政がひっ迫しえいる自治体では、利用価値の少なくなった公共施設は削減、新規の施設は原則建設しない、複合化や集約化を図る、予防保全を図り長寿命化を推し進めていく、PPP/PFI(公共施設等の維持管理、運営などを民間との協力体制により活用して行う手法・指定管理者制度など)を優先的に活用する、など資産の有効活用を行い、受益と負担の適正化を図るという実施計画が進んでいます。

 

ビルメンテナンス業への影響

ビルメンテナンス企業の多く(特に独立系ビルメン)は公共施設の業務物件ごとの入札などに参加して受注していると見られます。

 

国の要請にもよる公共施設等総合計画策定に則り、各自治体においても公共施設の総量削減や設備管理費などの予算の削減を進めていますので、公共施設の管理物件を多く受注しているビルメン企業は現場を失うという痛手を被る影響を受けることとなります。

 

自治体の公共施設の管理物件は入札で行われ、最低入札価格を提示した企業が受注という運びですが、財源の乏しい自治体は予算枠がすくなく、酷い場合は人件費も上がり、物価も高騰しているにも関わらず過去10年予算が変わらずといった事例も見られ、中小のビルメン企業はそれでも会社存続のために敢えて利益率の低い業務を受注しているのが現状です。

 

自治体では近来、公共施設などの複合化を図ってプロポーザル方式(業務などを総合的に業者に委託する場合に、最も適した提案書を提示した業者を選定する方式)によって管理業務契約を交わす企業を選定していますが、総合的に業務管理能力を有する大手のビルメン企業に限られます。

 

まとめ

ビルメンテナンス業者は、今後業務体系の見直しを図っていくことが必要で、DXなどAIやIoTなどのデジタル技術を活用して業務プロセスの改善を模索し、サービス及びビジネスモデルそのものを変革させ、ビルメン業界での優位性を確立させていかなければならないと感じます。

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